英語のお勉強
寓話の迷い道 in 英語格言の森 その8

四月になりました。新年度の始まりです。気持ちもあらたに、新生活を始める人も多いことでしょう。そして、新しくなるのは、人と人との関係についても同様です。今回は、そうした人間関係に焦点を合てて、著名なお話を紹介します。


「二にんの知音(ちいん)の事」


あるとき自余に混ぜぬ二にんの知音、うちつれだつてゆく道で、熊といふけだものに行(ゆ)きやうて、一にんは樹にのぼり、いま一にんは熊と闘うたが、精力(せいりき)が尽くれば地に倒れ、虚死(そらじに)をしたれば、かのけだものの気質(かたぎ)で、死びとには害をなさぬものぢや。されどもそのけだもの生死(しゃうじ)の安否(あんぷ)を試みようとおもうたか、耳のほとり、口のあたりを嗅いでみれども、死んだごとくに動かなんだれば、そこを退いた。その時、樹にのぼつたものが下りて、その人に近づいて、「さてただいま御辺(ごへん)に、かのけだものがささやいたことは何ごとぞ」とたづぬれば、答へていふは、「かのけだもののわれに教訓を爲(な)いた、それをなんぞといふに、――なんぢ向後(けうこう)おん身のやうに大事にのぞうで見放さうずるものと知音すな――と。」

(※「自余に混ぜぬ二にんの知音」とは、二人が並々ならぬ親友であることを意味しています。)

題名からは分かりにくいかもしれませんが、「旅人と熊」として広く知られている、といえばよく分かるのではないでしょうか。熊に襲われそうになったとき、死んだふりをして生きのびた、というお話です。熊が何とささやいたかなどと尋ねる友人もとぼけていますが、それに対する答えもなかなか皮肉のきいたものです。


このお話で語られていることは、

A friend in need is a friend indeed. <まさかの時の友こそ真の友>

といった格言で説明することができましょう。友人関係に関しては、


Success has many friends. <成功すると友が増える>

などという言葉もありますが、そうして出来た友が「真の友」であるかどうかは分かりません。


ところで、

The best of friends must part. <どんな親友も、いつか別れる時がくる>

という格言もあるようですが、真の友ともなれば、こういったことはあまり関係ないのかもしれませんね。

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