英語のお勉強
寓話の迷い道 in 英語格言の森 その6

新年を迎えてはや2ヶ月。年明け最初の本欄は、戌年にちなんで、犬のお話からはじめようかと思います。すでに昨年犬のお話を一つ紹介しましたが、当然それとは異なるものです。


「お腹を空かせた犬」


お腹を空かせた犬たちが、川の中に毛皮が沈んでいるのを目にしたが、そこまで行くことができなかったので、まず水を飲みほして、それから毛皮へ近付こう、と考えを決めた。そして、犬たちは川の水を飲んでいったが、毛皮まで行き着く前に、飲みすぎて破裂してしまった。

このお話が含まれている寓話集では、このお話に対して「このように、儲けを望んで危うい仕事に手を出して、望むものを手にする前に果ててしまう人々かいる」「愚かな考えは、効果がないばかりか、人を破滅へと誘うものである」といった説明が附されています。

ところで、川の水を飲んで破裂する、とはなかなか奇抜な展開です。


Two heads are better than one. <三人寄れば文殊の知恵>


ともいいますが、ここで犬たちは、何匹かで頭をつきあわせて意思決定を行なっています。本来ならば、もっとまともな方策が考案されてもよかったはずです。しかし、ここに集まった犬たちは、空腹のためか、正常な判断など出来ません。なんとしても毛皮を手に入れようと、気が急いています。

つまるところ、このお話は、欲望故に自滅する者たちについて語っているとも言えるわけですが、あくまで自滅というところがポイントです。

食欲のために自滅した犬たちには、

Live not to eat, but eat to live. <食べるために生きるのではなく、生きるために食べよ>

とという言葉の逆、文字通り「食べるために生きた」感が漂います。しかしながら、当の犬たちを見ると、欲望に負けて悪事に手を染めたわけでもなく、他者に迷惑をかけているわけではないので、結果としてなにか間抜けな、憎めない印象が残ることになるのです。

Better be a fool than a knave. <悪党より馬鹿の方がまし>

というわけで、人間なかなか無欲にはなれませんが、欲望に従って悪事に手を染めるよりは、ただそれに打ちこむ馬鹿でありたいものです。――まあ、選択肢がこれだけというわけでもないでしょうけれど。

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