英語のお勉強
寓話の迷い道 in 英語格言の森 その5

急に寒さが厳しくなってきました。12月にもなると、いよいよ季節は冬。実は、12月にはこの寓話、と前々から決めていたお話があります。夏と冬、働き者と怠け者のお話。そう、「アリとキリギリス」で有名なお話です。とはいえ、ここで紹介するお話には、キリギリスは登場しません。


「蟻と蝉との事」


さる程に、春過ぎ、夏闌(た)け、秋も深くて、冬の比(ころ)にもなりしかば、日のうらうらなる時、蟻、穴より這い出で、餌食を干しなどす。蝉来って、蟻に申すは、「あな、いみじの蟻殿や。かかる冬ざれまで、さやうに豊に餌食を持たせ給ふものかな。我に少しの餌食を賜び給へ」と申しければ、蟻、答へて云(いわ)く、「御辺は、春秋の営みには、何事をか、し給ひけるぞ」といへば、蝉、答へて云く、「夏秋、身の営みとては、梢にうたふばかりなり。その音曲に取乱し、隙(ひま)なきままに暮し候」といへば、蟻申しけるは、「今とても、など、うたひ給はぬぞ。『謡(うたい)長じては、終(つい)に舞』とこそ承れ。いやしき餌食を求めて、何にかは、し給ふべき」とて、穴に入りぬ。

ヨーロッパのルネッサンス時代の寓話集から派生した、江戸時代初期の寓話集に収録されている寓話です。古文のまま引用しましたが、おおよその意味はそのまま読んでも分かるのではないでしょうか。なお、現在では「アリとキリギリス」が有名ですが、キリギリス版は後で生じたものです。日本では明治時代初期の翻訳寓話集に収録されています。

引用した寓話には、次のような教訓が付けられています。曰く「世事であれ、自分の力で出来る間は、しっかりと仕事をするべし」「豊かなとき節約しない人は、貧しくなって後悔するものだ」「盛んなとき学ばない人は、年老いて後悔するものだ」「酔って乱れてしまうと、酔いが醒めて後悔するものだ」

これらの教訓を見ると、どうやら


What is done cannot be undone. <後悔先に立たず>


ということが解釈の根底にありそうです。話を素直に読めば、


You get what you deserve. <自業自得さ>


という蟻の主張が強いようにも思われますが、

Tomorrow never comes. <明日は決して来ない>


つまり今日すべきことは今日すべし、として堅実に働く蟻か、

Tomorrow is another day. <明日という日もある>


として奔放な蝉か、どちらが好まれるか評価は分かれるかもしれません。

それにしても、「蟻と蝉」の話から酒の席の教訓に至るというのも面白いですね。



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