Cinema English2


「Hi-Fidelity (ハイ・フィデリティ)」

 主人公はシカゴのマニア向け中古レコードショップのオーナー。店でも自宅でも レコードに囲まれていれば幸せなポップ・ミュージックジャンキー。クラブでDJなどして決してモテないわけではないのに、なぜか振られ続ける恋愛オンチの30男。 冒頭で、またしても数年間同棲していた恋人ローラが、とうとうフラットを出て行くこ とに。

ROB
What came first?  The music or the misery?
 
People worry about kids playing with guns and watching violent videos. Nobody worries about kids listening to thousands- literally thousands- of songs about broken hearts and rejection and pain and misery and loss. Did I listen to pop music because I was miserable, or was I miserable because I listened to pop music?
     
ロブ
どっちが先だ?音楽か、それとも失恋か?         
 
子供がピルトルごっこをしたりバイオレンスビデオを見たりするのは心配するくせに、何千もの、文字通り何千もの失恋や拒絶、傷心や苦悩や喪失の歌を聴くことは誰ひとり心配しない。俺は失恋したからポップスを聴くのか、それともポップスを聴くから失恋するのか?

 振られるたびに家中のレコードを並べ換えて気を紛らせるロブ。アルファベット順から年代順に、今度は自分史順に。

 店の従業員は、内気で神経質でやせギスのディックとデブで尊大でハイテンションのバリー。もちろん二人とも超音楽オタクである。週3日のアルバイトのはずが、 わけもなく毎日顔を出すようになってはや4年。「どんな人間かではなく、どんなセンスかによって人間の価値は決まる」が持論の彼らの店は、センスのない「一見さん」には手厳しい。今日もこの店にそぐわぬ客が迷いこんできた。白髪にレインコートの中年男だ。


CUSTOMER
I'm looking for a record for my daughter. For her birthday.
 
'I Just Called To Say I Love You.' Do you have it?     
BARRY
Oh year. We got it.
CUSTOMER
Great. Can I have it then?
BARRY
No, you can't.
CUSTOMER
Why not?
BARRY
Because it's sentimental tacky crap, that's why not.
    Go to the mall and stop wasting our time.
CUSTOMER
What's your problem _ .
BARRY
Do you ever know your daughter?  There is no way she likes that song.  Or is she in a coma?
CUSTOMER
Okay,okay, buddy.  I didn't know it was Pick on the Middle-Aged Square Guy Day.   My apologies. I'll be on my way.
(.....)
ROB
Barry, I'm fucking broke !
BARRY
He was gonna buy one record-which we didn't even have- and leave and never come back again anyway.
ROB
What did he ever do to you ?
BARRY
He offended me with his terrible taste.
     
娘にレコードを探してるんだが。娘の誕生日にね。   
    (スティービー・ワンダーの)「I Just Called To Say I Love You」はあるかな。
バリー
あぁ、あるよ。    
そりゃよかった。じゃぁ、それをもらえるかい。     
バリー
やらねぇーよ。
どうして?
バリー
センチでべとついたクズみてぇーな曲だからだよ。 俺らの時間潰してねぇでとっとと商店にでも行きな。   
なんだって君はそう...
バリー
あんた、自分の娘を知ってんのか? あんな曲好きなわきゃねぇーだろ。  それともなに、娘さん、昏睡状態かなんか?
もういい、わかったよ君。今日が「真面目な中年いじめの日」だったとは知らなかった。  失敬。もう出ていくよ。
(中略)
ロブ
バリー、店が潰れるよ!
バリー
野郎、うちには置いてないようなもん欲しがってたし、とにかくこれでもう二度と来ないぜ。
ロブ
彼がいったいおまえに何をした?
バリー
最低のセンスで俺の気分を害したね。

 いつもは気の合うオタク仲間も、何かにつけ「マイ・トップ5」を選ぶオタク遊戯も ローラを失いかけているロブには、うっとうしく苛立たしい。「80'-90'年代、スティ ー ビー・ワンダーが犯した音楽犯罪トップ5は?」「死を歌った歌トップ5は?」「A面 一曲目のトップ5は?」.....しつこいバリー達を追い出して、さっさと店じまい。家に帰ってレコード整理に熱中しようとするが、「あぁー、俺の衝撃的失恋トップ5は... 年代順に、アリソン、ペニー、ジャッキー、チャーリー、サラ... 。ローラなんか6位 以下だ!」強がってはみせるものの、

ROB
So how come I got dumped?!
     
ロブ
で、なんで俺はこうも捨てられるんだ?!      

 そこに突然、本物のブルース・スプリングフィールドが登場するから可笑しい。ギター片手にロブに恋のアドバイス。とうとう「ブルース・スプリングフィールドの歌にあるように」歴代の彼女たちにご機嫌うかがいをたて、繰り返し捨てられる原因究明に乗り出すことを決意するロブ。淡い期待を抱きながら...。

 アリソンは初恋の同級生と結婚して引越し。ロブはものの数にも入っていなかった。 ペニーとは、奥手でヤラせてくれない彼女に腹を立てたロブの浮気が原因。そういえば そんなことがあったなぁ。大学時代の美人でゴージャスなチャーリーは、今だにチヤホヤされるのが好きでさっそくホームパーティーに招いてくれるが、なんてスノッブで底の浅い女なんだ!かつての自分の悪趣味に愕然とする。お次はサラ。振られた同士で傷を舐め合い、一足先に別の男をみつけて去って行った彼女は、相変わらず不幸そうで、 こっちまで気が滅入る。

 観客にむかってときには理屈っぽく、ときには一人寝のベッドで枕を抱え、涙まで浮かべて、ローラへの思いや女運のなさを切々と語りかけてくるロブ。こう書くと、不器用でも健気な主人公に同情しそうなもんだが、ロブが語れば語るほど、この男結構女好きで浮気癖のあるダメ男であることがわかってくる。

 観客にむかってときには理屈っぽく、ときには一人寝のベッドで枕を抱え、涙まで浮かべて、ローラへの思いや女運のなさを切々と語りかけてくるロブ。こう書くと、不器用 でも健気な主人公に同情しそうなもんだが、ロブが語れば語るほど、この男結構女好きで浮気癖のあるダメ男であることがわかってくる。

ROB
Top five I miss about Laura. One. Sence of humour.Very dry...caustic without being cruel, but it can also be warm and forgiving. And she got one of the best all-time laughs in the history of all-time laughs .
    Top five I miss about Laura. One.  Sence of humour.Very dry...caustic without being cruel, but it can also be warm and forgiving. And she got one of the best all-time laughs in the history of all-time laughs .
    .Some people, as far as your senses are concerned, just..feel like home .
    Four : I really dig how she walks around. It's like she doesn't care how she looks, or what she projects. (...)and that gives her grace.  Number five : She does this thing in bed when she can't get to sleep.
    She kind of half moans and then rubs her feet together.It kills me. These are the top five I love and miss Laura.
 
 
ロブ
ローラが恋しい理由トップ5。No1、ユーモアのセンス。キツいことをさらりと言う。でも酷じゃなくて暖かくて寛大ですらある。彼女、笑い史上空前の笑い方をする。全身で笑うんだ。
No2、性格がいい。少なくとも例のイアンの悪夢まではそうだった。誠実で正直で、率直で好奇心旺盛。それに男を弄んだりしない。 弄ばれて当然のような男でもね。
(略)
No3、彼女の匂い、彼女の味が恋しい。 こればっかりは人間化学の神秘で、なぜだかよくわからない。でも五感に関するかぎり、無性に懐かしい感じのする人がいる。
No4、彼女の歩き方はほんとにイカしてた。自分がどう見られようが、どんなオーラを発してようが、全く気にとめていないようなんだ。
(略)
それが優雅だった。No5、これは彼女が眠れないときベットでする癖なんだけど、うめいては両脚をすりすり擦り合わせる。 あれはグッとくるよ。以上が、ローラが好きで恋しい理由トップ5だ。

 勝手気ままにロブを捨て、新しい男を作って出ていったとばかり思われていたローラの内面が俄然身近になってきた。おまけに話しを聞けば、なんとロブはまたしても浮気の前科があり、妊娠に気付いたローラが一人で中絶手術を受けて口論になったことも。 さらにレコードショップの経営建て直しにローラから多額の借金をしており、当面返す 目処も立っていない...etc。要するに三行半。おい、おいロブ、どうなってんだよ。 観客の前で申し開きができずにしどろもどろのロブ。

 そんな矢先にローラの父が亡くなり....。 さて、ロブはダメ男から脱却できるのか。この二人の運命はどうなるのか。 おいしい部分は見てのお楽しみ。 ちなみにタイトル「ハイ・フィデェリティ」には、ステレオなどのHi-Fiでお馴染みの原音再生に「忠実」であるという意味と、自分にそして誰かに「誠実」であるという意味が掛けてあるそうです。

                                         文責:高橋 流美



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